ABOUT


FAR TSUSHIN is a project that centres around reviewing and critiquing physical exhibitions, online works and shows, and individual paintings and pieces of artwork. London-based artist Nobutaka Asanuma and Glasgow-based artist Masaki Ishikawa run it, which was conceived in December 2020 and launched in January 2021. The project involves posting research-based reviews and criticism on our website in English and Japanese and promoting them on Twitter. We currently publish reviews of contemporary art exhibitions in the UK, USA, Germany and Saudi Arabia. In the future, we aim to increase the number of authors living in different countries and cities and to create a powerful platform for information and reviews of contemporary art exhibitions. If you are interested in joining us, please feel free to contact us.

FAR通信は、ギャラリーでの展示、オンラインの作品や展示、個々の絵画や作品のレビューや批評を中心としたプロジェクトです。ロンドンを拠点とするアーティストの浅沼亘尊とグラスゴーを拠点とするアーティストの石川真奎が運営しており、2020年12月に構想され、2021年1月に立ち上げられました。このプロジェクトは、リサーチを元にしたレビューや批評記事を、日英両言語でウェブサイトに投稿し、Twitterで宣伝するといった活動を行なっています。現在は、イギリスを中心に、アメリカ、ドイツ、サウジアラビアで行われた現代美術展に対してのレビューを発信しています。将来的にはさらに様々な国・都市に在住する執筆者を増やし、現代美術展示の情報やレビューが集まる大規模なプラットフォームを作ることを目的にしています。ご興味のある方は、お気軽にご連絡ください。

Management and editors



Nobutaka Asanuma (NOBU)

Nobutaka Asanuma (NOBU) was born in Tokyo, Japan, in 1993 and is currently a student of Fine Art at Central Saint Martins, UAL, where he makes 2D and 3D works. The main subject is the social problems in our environment - including environmental issues. He is also interested in disseminating information based on his own experiences and has a personal blog about his work and arts movement.

1993年に東京で生まれた浅沼亘尊(NOBU)は、現在Central Saint Martins(UAL)のFine Art学科に在籍し、2Dおよび3D作品を制作しています。主な題材は、環境問題を含む私たちの環境における社会問題です。また、自身の経験に基づいた情報発信にも関心を持ち、個人のブログでは自分の作品や芸術運動についての投稿を行っています。


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Masaki Ishikawa

石川真奎は、ポストカードをモチーフにしたペインティングを中心に活動しているビジュアルアーティストです。彼が題材とするポストカードは、中古品が多く、eBayなどの見落とされた場所から購入しています。各地の代表的な旅行体験を印刷した大量生産の表面と、裏面に書かれた送り主の個人的な体験や相手へのメッセージは、複製がお土産というオリジナルに変わる瞬間を握っていると石川は感じています。

Masaki Ishikawa is a visual artist who currently works predominantly on paintings based on postcards. The postcards he uses as subject matter are often second-hand and bought from the overlooked corners of eBay and other sites. Ishikawa feels that the mass-produced front side, printed with typical travel experiences of each place, and the sender’s personal experiences and messages to the addressee written on the backside, hold the moment when a reproduction turns into an original in the form of a souvenir.





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Sin Park, Dance With the One Who Brought You, 2021. Patricia Fleming Gallery, Photo: Keith Hunte


6枚の大きなペインティングとドローイング群で構成されたSin ParkのPatricia Fleming での初個展は、Parkの最近の作品であり、展示タイトルでもある’Dance With the One Who Brought You’や、ここ5年間のうちに制作された絵画も展示されている。激しいブラッシュストロークやマークメイキングが鑑賞者を引き付ける彼女の絵画は、じっと鑑賞をしていると絵画の中に室内空間や、家具のような形が見えてくる。次の瞬間には見えなくなってしまうようなそれらのイメージは、彼女の早い印象を与えるマークメイキングがその瞬間性を促進しており、そのような仕事は、より小さなサイズである、英国で初めて起きたロックダウンの際に彼女が日毎に制作した200枚のドローイング、「Drawings from the isolation」でも表されている。

ロックダウンによる強制的な内側での生活は、他人との接触を絶った孤独な期間であり、彼女の絵画実践にも少なからず影響を与えた。「Drawings from the isolation」において、彼女は、’自分の居場所、逃げ場所’としての窓に着目し、自宅の窓から見えるものの動きに触発されドローイングを描き続けた。朴が「窓」を考えるきっかけとなったのは、彼女が借りている部屋の前の住人である一人暮らしの老女が、窓から高速道路を走る車を友人だと思って眺め、孤独を紛らわせている様子だ。また、デヴィッド・レビットの著書「失われた鶴の言葉」の一章「失われた鶴の子」に登場する子供、ミシェル。母親に顧みられず、部屋で孤独に過ごす彼は、窓の外から見える工事現場のクレーンの動きを真似るようになり、クレーンの動きとその言語に取り憑かれるようになる。

孤独と窓は、透明性と物理的な遮断という窓の性質によって孤独を強化し、あるいは逆に孤独を慰めるという両義的な関係で結ばれている。例えば、エドワード・ホッパーの「ナイトホークス」は、大きな窓から店内が露出しており、夜の街の孤独が描かれている。さらに、朴の着想と似たような例を、ハンス・クリスチャン・アンデルセンの『絵のない絵本』に見いだすことができる。主人公の貧しい孤独な画家が、窓から見える月を友だちと呼び、月は "私の言うことをスケッチしなさい、そうすれば本当に美しい絵本ができるはずだ "と言う。画家は窓を通して孤独を癒し、創作のためのインスピレーションを得るのだ。どちらの例にせよ、窓は孤独な人に対象を提供する。高速道路を走る車、クレーン、月などは、静的な室内に自らの動きと状態の変化を現す。私たちは対象があって初めて自分を認識することが可能になる。自分の人生の記録であり、自分の感情をよりよく理解するための地図であると語るParkの実践は、ドローイングの素材である紙が、まるで自分自身と対話するための窓であるかのようである。

‘Drawings from the isolation’の後に制作されたParkの近作’Dance With the One Who Brought You’は、’Drawings from the isolation’の隣の壁に掛けられている。ドローイングと比較すると、この絵画はより丁寧な筆致の層を見せ、植物の具象的なイメージを表現している。この二つの作品から、私は最近のParkの絵画制作を距離と空間という観点から、"内と外"、"そこに動く世界とここに動く彼女 "など、朴を取り巻く経験的な近接性と遠隔性の関心を感じ取ってしまう。Parkは、知覚した動きに対応するために、自分と対象の動きを絵の具の表面に定着させようと試み、その動きは、彼女と被写体と絵画の間で反響を続け、それぞれの現在形を何度も何度も再構築していき、そのインタラクティブな動きは、作品の最後、絵が現在形のサイクルから切り離された独立性を獲得する瞬間に頂点に達っする。‘Dance With the One Who Brought You‘からは、彼女と植物との距離が近いことが読み取れ、それ故にこの絵からは特別な親密さを感じることができる。また、’Dance With the One Who Brought You‘は、「あなたを支えてくれた人、気にかけてくれた人、助けてくれた人に思いやりと忠誠心を持ちなさい」という意味のことわざでもある。彼女のモンステラに対する眼差しは注意深く、彼女にとってこのモチーフが家庭的に重要であることを暗示しており、一面に描かれたモンステラの近さは、「ダンス」というタイトルが示すように、ダンスをするときの距離でもある。’Dance With the One Who Brought You‘は、彼女と彼女の空間の、相互の経験とテンポが呼び起こされ、心地よく響き合うそのリズムを凝縮された時間として鑑賞者に共有するのだ。


Sin Parkは韓国のソウルに生まれ、現在はグラスゴーとロンドンを拠点に活動しており、現在、The Glasgow School of Artのファインアートの博士課程に在籍している。2017年にRoyal College of Artで絵画の修士号を、2012年にソウルのEwha Womans Universityで絵画の学士号を取得。

Sin Park / Dance With the One Who Brought You / 2021 (patricia-fleming.com)